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Vol.22 中村メイコさん

 

夫とふたりきり、年を重ねても楽しく美しく生きていきたい。それにはちょっとした努力と「何ごとも腹八分」の心がまえが肝心。中村メイコさんに女性としての「我が人生」をユーモアたっぷりに語っていただきました。

父の言葉「君に涙は似合いませんゾ」子守唄がわりに聞かされて育ちました

「くせでカメラを向けられるとつい笑顔を作っちゃうのよ、いやぁねぇ」

くるくると変化する、思わず誰もが引きつけられるメイコ・スマイル。これまで撮られたあまたのポートレートの中に、「笑顔でない自分を見つけるのは難しいのよ」と中村メイコさんはおっしゃいます。わずか二歳八カ月で銀幕デビュー、幼い子役スターに父親がつけた唯一の注文は、明るい上等な喜劇だけに出演すること。そして子守唄のように聞かせてくれた言葉は「メイコくん、君に涙は似合いませんゾ」。「物心ついてからどうして?とたずねると、ちょっと困った顔で『美人なら泣き顔もいいが、君くらいの女の子はいつもニコニコ笑っているくらいでちょうどいい』ですって(笑)。それを肝に銘じましたね」

その一方で、娘を普通の女の子として扱い、家事の喜びを教えてくれたのは母親でした。「嫌な顔をするくらいならお手伝いしなくていいわ。ちょっと掃除しただけで部屋がきれいになったらわぁ素敵って思うでしょう?ありあわせで作ったおかずを、家族が美味しいと食べてくれたらうれしいじゃない?それが家事というものよ」

母の教えは、今も中村さんの胸に深く刻みこまれています。「悩まず面倒くさがらない。何でもニコニコしてやった方が人生楽と、あるがままを受け入れて納得することができた。多分天性のネアカなんでしょうね」

そんな中村さんが女性として憧れていたのは、同じように子役から数々の名作に出演した女優・高峰秀子さん。自らプライベートを公にするなど考えられなかった時代、婚約発表を行った第一号の女優でした。「変な噂を立てられるくらいなら、さわやかに宣言した方が女優としてベストなんじゃない?」という先輩の言葉が、後に神津さんとの交際宣言を決意するきっかけだったそうです。

「それなりの女優になればいいんだわ」結婚を機に、素直にそう思えるように

ずっと芸能界で生きてきた反動か、国民的アイドルとして人気絶頂にあった少女時代に「普通あこがれ病」にかかってしまった中村さん。学歴も手に職もない自分が普通の生活をするには、結婚と同時に引退し家庭に入ることが唯一の手段と考えたのです。

結婚相手に対してつけた条件はちょっとユニークです。第一に、お金目当てと思われたくないのでお金持ちじゃない人。でも、決まったお給料をやりくりする方法も知らないから月給取りはNG。セリフ覚えが良い自分が、同業者の俳優を夫に持つのも気がひける。かといって、もの書きはどうもうさんくさいという消去法の結果、「普通の学生でクリエイティブな職業を目指す、三つ年上の理想的な男性」とのおつきあいを選びます。それが伴侶となる作曲家の神津善行さんでした。

ところが引退のおもわくは、夫の意外な言葉で覆されたのです。「女優を辞めるなんてとんでもない。これからの時代、女性も専門の世界を持つべきだと思う。仕事しながらでも家事と育児はできるはずだ。結婚くらいで自分を変えない強い個性を持つ女性だから中村メイコを選んだ」

最初は無茶に思えた注文でしたが、そこで中村さん流のネアカ精神「悩まずやってしまおう!」が発揮されたようです。「一番勢いのある時期にスターが結婚し、子どもを生む。それでいていつも主役で看板番組を何本も持ちたい、出演料は多く、なんて無理な話。それにこの国では有名人がプライバシーを保つのが難しいじゃないですか。だったらそれなりの女優でいればいいと素直に思えたの。『今のメイコさん、これなら及第点をあげられるな』ってところに、常にいようと心がけたんです」

それからは女優と主婦の多忙な二重生活が始まります。朝は五時半に起床し子どものお弁当と朝食作り。いつでも「いってらっしゃい」「お帰りなさい」の言葉で夫を送り迎えるため、神津さんの出る五分後に出発し、帰る五分前には帰宅するよう仕事を調整。途中で姑の介護も加わり、睡眠時間が三時間のこともありました。それでもゴシップに無縁のまま、休むことなく仕事を続けてこられたことで「優等生」扱いされるのは心外のご様子。「むしろ、すべてにおいて消極的で怖がりなんですよ。努力してやったのだったら、ここまですることはできなかった。でも、決して器用なわけじゃないの。性格的に仕事にも家事にも向いていた、ということでしょうね」

これが女優・中村メイコさんの、偽らざる素顔。力まずに自然体でいることこそが、家庭も仕事もバランス良く持続させるコツだったのです。

夫婦二人きりの人生、楽しく生きるには別々の興味を持つことをおすすめします

今年の十一月で結婚四八年目。著書『夫とふたりきり』の中でも語られているように、子どもが巣立った後夫とふたりきりの人生を楽しく過ごすために、夫婦別々の趣味を持つことを強くすすめています。「夫にゴルフを習うと、やれ下手だの覚えが悪いだのと喧嘩になる。それよりそれぞれが趣味をうーんと楽しんで『今日は楽しく過ごさせてもらった』と帰宅すれば、素敵なディナーが楽しめると思うのね」

また、夫婦お互いに自分の良さを見せあう努力も必要。中村さんは神津さんとふたりきりの自宅でも普段着や食卓の演出に気をつかい、何につけても「ありがとう」の言葉を欠かさないように心がけます。「長年ともに過ごすと、どうしてもアラばかりが目につくもの。しかも段々見てくれが悪くなる。それは神様がくださった人生の第二の試練。夫婦は所詮他人なのだから、ある程度のエチケットを意識しないとね」

年齢を重ねたら、おしゃれも生活もシンプルに。モノに執着せずこだわらず、素直に流される自分を育てよう。「満腹だと意欲が出ない。お腹が少し空いているくらいの方が、心美人になれるのよ」との言葉通り「何ごとも腹八分」が、中村さんの一貫して持つ美意識です。「でも、生まれ変わるなら男がいい。女の方がわがままだしいい加減だから。あえていうなら、家のことを家族のためと思わず、自ら楽しんでやれるときに女で良かったと思えます」

そんな言葉も、女性としての人生を十二分に生きてきた証なのかも知れません。それでもご自身と同世代の日本人女性は素敵な方が多いと、手放しで評価されています。「人の悲しみとか苦しみ、ひもじさ、ものを大切にする心を知りながら、戦後とめどなく入ってきたモダニズムを一番みずみずしくとらえた世代だから、いつの時代も自分を見失わない。良い時代を生きてきたんだナと、七〇代になって初めて思えるようになりました」

取材を終えて

衣装は自分でコーディネートするという中村さん。この日は、愛犬にかじられたところを繕うためにつけたという帽子のお花も、おしゃれのアクセントになっていました。

なかむらめいこ「公私共に喜劇的でありたい」をモットーに、芝居、声優、講演会などマルチに活躍。「老いてほどほど」など、家族や夫婦のあり方をコミカルに描いたエッセイが好評。

関連書籍

五月蝿い五月晴れ

人生という名の喜劇を生きて
発行:東京新聞出版局
定価:1,680円(税込)

2歳8ヶ月でデビューして今年で70周年を迎える中村メイコさんがつづった昭和ほのぼの自叙伝。芸能裏話からとっておきの私生活秘話まで、120点を超える懐かしい写真ともに楽しんでいただけます。

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